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発表資料「死刑は正義にかなった刑罰か」

2013年11月8日にアンスティチュ・フランセ東京にて開催されたイベント「討論:死刑制度を考える」において監獄人権センター代表の海渡雄一が準備した発表用資料です。

発表資料(PDF)



日本における死刑
2012年2月16日付け日本における死刑に関する欧州議会決議
(2012/2542(RSP))

―死刑及び死刑の執行について世界規模でのモラトリアムを求める2007年12月18日付国連総会決議62/149の実施を求める国連総会決議168/63を考慮し、

―死刑の使用のモラトリアムに関する2010年12月21日付国連総会決議65/206を考慮し、

―死刑に関する欧州連合ガイドラインを考慮し、

―全世界における死刑モラトリアムに関する2007年9月27日付欧州議会決議 を考慮し、

―日本、韓国、台湾における死刑の廃止に関する2002年6月13日付け欧州議会決議 を考慮し、

―世界死刑廃止デーに関する2010年10月7日付け欧州議会決議 を考慮し、

―キャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表及びソルビョルン・ジャグランド欧州評議会事務総長の共同による2011年10月10日の欧州並びに世界死刑廃止デーに関する宣言を考慮し、

―日本を含む欧州評議会のオブザーバー国に対して死刑の廃止を促す2011年4月6日付け死刑の廃止に関する欧州連合の声明を考慮し、

―日本が1999年に批准した国連の拷問及び他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約を考慮し、

―欧州議会の手続規則122(5)を考慮し、

A.欧州連合は、いかなる地域における死刑についてもその廃止に向けて活動することを固く決意し、生命に対する権利という基本原理が世界的に承認されるべく努力しているものであり、

B.2011年は日本において1992年以来初めて死刑の執行のない年であり、しかしながら報道によれば、小川敏夫新法務大臣は、その前任者である平岡秀夫法務大臣がとった「慎重」な方針を継続する意思がないこと、及び、再び死刑執行命令書に署名をする用意があることを宣言し、

C.死刑の廃止に向けて世界的に顕著な前進がみられ、ますます多くの国家が死刑を廃止するに至っており、

D.アジアにおける指導的な民主国家であり、かつ国際社会の主要なメンバーである日本が、正式に死刑の廃止を約することは、国際的な潮流に合致するのみならず、生命に対する権利は尊重され保護されなければならないという強力なメッセージを世界中に発するものであり、

E.現在、およそ130人の死刑確定者が存在し、

F.死刑確定者及びその弁護士 はまさに死刑執行がなされる当日まで執行について知らされることがなく、また家族は事後にしか執行の事実を知らされず、これは長い年月にわたって死刑を待つという点から特に残虐性を示すものであることをふまえ、

 

1.欧州連合の日本との関係が、自由、民主主義、法の支配及び人権への傾倒という共通性の上に築かれている事実を歓迎し、

2.2010年7月以降、日本では死刑執行がなされていないという事実、及び、2010年に法務省内に死刑に関する勉強会が設置された事実を歓迎し、

3.小川敏夫法務大臣に対して、将来いかなる死刑執行命令をも発することなく、かつ、勉強会での作業を支持するよう、緊急に要請し、

4.日本に対し、1989年11月から1993年3月までの間実施していた事実上のモラトリアムを再び行う努力を継続し、かつ、公的機関、国会議員、市民社会における諸団体やメディアに対して、日本における死刑の使用についての国民的な議論に参加するよう奨励することを求め、

5.欧州議会議長に対し、本決議を欧州委員会副委員長兼外務・安全保障政策上級代表、欧州委員会、欧州連合加盟各国の議会、国連事務総長及び国連人権高等弁務官に送付するとともに、日本の内閣総理大臣、法務大臣および国会にも送付するよう指示する。

 

(日本語訳:NPO法人監獄人権センター)


ⅰOJ C 219 E, 28.8.2008, p.306.
ⅱOJ C 261 E, 30.10.2003, p.597.
ⅲOJ C 371 E, 20.12.2011, p.5.
ⅳ訳注:この点は誤っており、実際には、弁護人がついている場合も執行の事実は事後にしか知らされない。




日本における死刑廃止に関する公開書簡

国際人権連盟 (FIDH)
17, passage de la main d'or, 75011 Paris, France
電話: 33(0)1 43 5525 18
E-mail: fidh@fidh.org
ウェブサイト: www.fidh.org

世界死刑廃止連盟 (WCADP)
3, rue Paul Vaillant Couturier, 92320 Châtillon,France
電話: 33(0)1 57 6309 37
E-mail: committee@worldcoalition.org
ウェブサイト: www.worldcoalition.org

公開書簡宛先:
内閣総理大臣 野田 佳彦 殿
法務大臣 平岡 秀夫 殿

2012年1月3日,パリ発

親愛なる 野田佳彦内閣総理大臣、平岡秀夫法務大臣

国際人権連盟(FIDH)および世界死刑廃止連盟(WCADP)は、日本における死刑問題の改善において重要なこの時期にお手紙を差し上げることを光栄に存じます。貴国では2010年7月28日に尾形英紀氏および篠沢一男氏に対する死刑執行が東京拘置所で行われて以降、死刑が執行されていません。FIDHおよびWCADPはこの前向きな展開を歓迎いたします。2011年は1993年以降で初めて、死刑執行のない年となりました。とりわけ私たちは、平岡大臣が、国内で直面する困難な状況にもかかわらず熟慮のうえとられたイニシアティブを称賛するものです。

ここにFIDHとWCADPは、日本政府がこの努力を維持されるとともに、今後もいかなる死刑執行命令をも下すことなく、慎重な研究を開始し、日本の社会および国会において死刑に関する議論を行うことを求めます。

死刑の廃止について研究し、政府への提言を行うべく、市民社会の代表者を含む幅広い専門家からなる独立した審議会を可及的すみやかに設置することは、日本の利益となるでしょう。

世界の三分の二以上の国々が、法律上ないし事実上死刑を廃止しています。アジア太平洋地域の41か国中、17か国はすべての犯罪について死刑を廃止し、9か国は事実上死刑を廃止し、1か国(フィジー)は死刑を例外的な軍事犯罪についてのみ適用しています。アジア太平洋地域においても、この究極かつ回復不可能な刑罰をいまだに用いている国々は、半数に満たないということになります。

G8参加国のなかで、死刑を用いているのは日本とアメリカだけであり、ロシアは1996年以降、死刑を一切執行していません。アメリカにおいてすら、16の州およびコロンビア特別区が死刑を廃止し、最近、オレゴン州知事は、自身の任期中は死刑執行を認めないと表明しました。2011年9月9日には、韓国は死刑執行ゼロ5000日を達成しました。2010年1月には、モンゴルの大統領が死刑の執行停止を宣言し、死刑の廃止を求めています。

アジアの主導的民主国家であり、また国際社会における重要な国家である日本が、死刑の廃止に向けて正式に取り組むことは、国際的な潮流に合致するのみならず、生命に対する権利が尊重され守られなければならないという、強力なメッセージを世界中に発信することとなります。

お目通し頂いたことにお礼を申し上げるとともに、この重要な問題に関して今後とられるであろう措置について、首相並びに大臣に感謝申し上げます。

敬具

FIDH議長
スヘイル・ベルハッサン

WCADP議長
フローレンス・ベリヴィエ

English version is available here



総理大臣、法務大臣に対する政策提言(要請書)

2009年11月27日

内閣総理大臣 鳩山由紀夫 殿
法務大臣 千 葉 景 子 殿

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-28-13-8F
菊田法律事務所気付
NPO法人監獄人権センター
TEL / FAX 03-3259-1558
代  表   村井敏邦
副代表   菊田幸一
副代表   海渡雄一
事務局長   田鎖麻衣子
 

要請書

第1 要請の趣旨
1 拷問禁止委員会、自由権規約委員会による総括所見をふまえて、死刑制度に関する調査会を設置し、死刑廃止に向けた調査検討を行うとともに、その間は死刑の執行を停止すること。
2 無期刑受刑者の仮釈放制度を見直し、受刑者自身に審査請求権を付与すること。
3 行刑改革会議の示した理念に基づいて、2011年(刑事被収容者処遇法の施行から5年以内)までに要求されている同法の改正を確実に実施すること。
4 社会奉仕命令や未決拘禁代替措置などを積極的に導入することにより、過剰拘禁問題を解決すること。

第2 要請の理由
日本の刑罰・刑事拘禁政策は、長年にわたり国際人権基準に照らし厳しい批判にさらされてきました。しかし新政権を迎えた今、これを国際水準へと引き上げる大きなチャンスが到来したものと、当センターとしても心より期待するものです。もとより、この分野に関する問題は極めて多くの困難を抱えておりますが、それらは人権問題に造詣の深い千葉法務大臣によるイニシアチヴにおいてこそ、克服が可能なものと考えます。課題が山積する状況において、実現に向けてぜひとも優先的に取り組んで頂きたい事項を以下に掲げます。

1 死刑廃止を検討する死刑制度調査会の設置と死刑執行の停止
当センターは、アムネスティ・インターナショナル、国際人権連盟(FIDH)、世界死刑廃止連盟(WCADP)といった国際人権NGOとともに、日本の死刑問題を国連条約機関をはじめ国際社会に正確に伝えるという重要な活動を担ってきました。死刑の問題が、今や日本が抱える最大の人権問題であることは、国際社会の常識です。国連の条約機関や人権理事会による勧告においても、死刑執行の停止と、死刑廃止に向けた措置をとることが繰り返されております。また、飯塚事件の例にみられるように、誤った死刑執行の可能性を完全に断つという意味においても、死刑制度をトータルに見直す作業を開始し、その間の死刑執行を停止することは、喫緊の課題です。

2 無期刑受刑者の仮釈放制度の見直し
現状の無期刑の実態は、すでに仮釈放の可能性をほとんど断たれた「終身刑」と化しています。社会復帰の適格がありながら、高齢で帰住先がないために、一生を塀の中で終える人も少なくありません。昨年法務省において開催された勉強会の結果を踏まえ、無期刑受刑者の仮釈放実態については情報公開が進みましたが、仮釈放制度の適正化・客観化に向けた改革はほとんど手つかずのままです。無期刑受刑者に対して仮釈放審理を求める請求権を付与し、その請求にあたっては代理人弁護士の選任を可能とすること、審理手続を準司法化し公正さを高めるなどの改革が早急に求められます。

また、死刑廃止の議論との関連においても、たとえば、仮釈放申請までの最低服役期間など、無期刑受刑者に対する仮釈放制度を新たな角度から議論することが必要と考えます。

3 刑事被収容者処遇法の抜本的見直し
刑事収容施設および被収容者等の処遇に関する法律(刑事被収容者処遇法)は、その附則により、施行から5年以内に見直しを行うことが求められています。同法は受刑者処遇法の改正法であるため、見直し時期は2011年と迫っています。
施行から年数を経るにしたがい、当初の新処遇法の理念を蔑にした実務が各地の刑事施設でみられるようになり、大きな人権問題となると同時に、こうした実務の横行を許す法の規定自体を見直す必要性が高まっています。また、徳島刑務所暴動事件にみられるように、先般の法改正で改革が見送られた医療や懲罰制度、そして代用監獄制度など、積み残しの課題も多くあります。したがって、2011年には以下の諸点を含めた、刑事被収容者処遇法の全面的見直しが、確実になされる必要があります。

1)代用監獄制度の廃止への道筋をつけ、また、無罪の推定を受ける未決被収容者の処遇を抜本的に改善すること。

2)自由権規約委員会による総括所見第21項をふまえて、隔離だけなく、制限区分第4種、調査のための隔離など様々な形態の独居拘禁を全面的に再検討し、必要最小限度の場合に限定すること。

3)面会、手紙などの外部交通について課されている、法の理念にも反する不必要な制約を撤廃すること。

4)刑事施設医療を抜本的に改革し、被収容者の健康保険への加入を認め、医療を法務省の所管から厚生労働省の所管に移管すること。

5)刑務作業に対する報酬を最低月額2万円保障し、年金など社会保険への加入を認めるなど受刑者の社会復帰のための基盤を整備すること。

6)視察委員会の意見に対する施設の応答義務を認め、事務局機能を充実するなど視察委員会の強化を図ること。

7)不服申立制度を強化し、面会の制限や執行の終了した懲罰も実質的な審査の対象とすること。

4 非拘禁措置の積極的導入による過剰収容の解決
法制審議会の被収容人員適正化等方策に関する部会において、拘禁によらない措置の導入可能性の議論が開始されてから2年が経過しますが、現時点において同部会では、非拘禁措置の導入については、刑の一部の執行猶予制度や、社会貢献活動を特別遵守事項とする制度など、極めて限定的な範囲においてしか導入が検討されていません。しかし、そもそも、人の自由を奪う拘禁は最後の手段であって可能な限り社会内処遇によるべきであり、また、やむなく拘禁措置をとった場合であっても、拘禁期間を最小化し円滑な社会復帰を可能とするためのシステムが必要です。これらは罪を犯した人たちの社会への再統合に資するとともに、現在もなお続く過剰収容状況の抜本的に解決するものです。上記部会における再検討を含め、新たな法務大臣の主導による思い切った方策を、強く望みます。

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