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資料・調査報告

声明・意見書

死刑執行の停止を求める緊急市民アクション

法務大臣 小川敏夫 殿

 2009年7月、民主党はその政策集「INDEX2009」において、次のように掲げました。「死刑制度については、死刑存置国が先進国中では日本と米国のみであり、EUの加盟条件に死刑廃止があがっているなどの国際的動向にも注視しながら死刑の存廃問題だけでなく当面の死刑の停止や死刑の告知、執行方法などをも含めて国会内外で幅広く議論を継続していきます。」多くの市民が、INDEXに掲げられた政策の実現に期待し、民主党は政権の座につきました。

 「当面の死刑の停止」を議論することは、民主党が掲げた政策です。ところが、小川敏夫法務大臣は、1月13日の大臣就任以来、死刑の執行は法務大臣の職責であると強調して正面から執行停止を否定し、在任中に死刑の執行を命じる意思を繰り返し明らかにしています。

 死刑という刑罰についてのみ、その執行が法務大臣の命令によるとされたのは、死刑が一度執行すれば取り返しのつかない究極の刑罰であることから、慎重を期すためであるとされています。法務大臣には、個々の事件の再吟味や死刑確定者の事情、その他内外情勢などを踏まえ、命令を発しない方向での慎重な政治判断をすることが認められているのです。

 しかし、小川大臣の発言は「初めに死刑執行ありき」ともいうべきもので、死刑執行に対する慎重な配慮を捨て去り、むしろ大臣としての職責を放棄するものといっても過言ではありません。

 実際に、過去の執行では、法務大臣が慎重な判断を欠いたために、誤った執行がなされてきたと疑われています。再審請求を準備しながら死刑執行をされた人々の中には、DNA鑑定によって無実が明らかにされる可能性があった人も存在します。また、心神喪失の状態にある人を執行することは刑事訴訟法により禁じられています。現に相当数の人々が深刻な精神状態に至っていますが、これらの人々は、自ら再審請求などの法的手段に訴えることはできず、また、心神喪失状態にあると主張することもできません。しかし、精神状態を調査するための信頼できる制度が存在しない日本の現状では、違法な死刑執行の可能性を払しょくすることができないのです。誤った死刑執行に対して、法務大臣は、どのように責任をとるのでしょうか。

 死刑は、最も基本的かつ重要な人権である、生命に対する権利を侵害する刑罰です。日本は、国際人権(自由権)規約委員会をはじめとする国連機関から、繰り返し、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう、勧告されてきました。

 私たちは、小川法務大臣に求めます。法務大臣としての職責を果たすため、死刑の執行を停止したうえで、死刑制度についての冷静な議論を行ってください。そのために、外部有識者による開かれた審議機関を設置し、国会における議論へとつなげて下さい。

死刑執行の停止を求める市民一同


小川敏夫法務大臣による死刑執行に抗議する

2012年3月29日

小川敏夫法務大臣による死刑執行に抗議する

NPO法人監獄人権センター
代表 村 井 敏 邦
事務局長 田鎖麻衣子
 

野田内閣の小川敏夫法相は本日(3月29日)、古澤友幸さん(東京拘置所)、上部康明さん(広島拘置所)、松田康敏さん(福岡拘置所)の3名に対し、死刑を執行した。今回の執行は小川法相が2012年1月に就任して以来、初めての死刑執行で、民主党政権下では2010年7月28日の千葉元法務大臣による死刑執行以来、1年8カ月振り2度目の執行となった。

政権党である民主党はその「政策インデックス2009」において、次のように掲げている。「死刑存廃の国民的議論を行うとともに、終身刑を検討、仮釈放制度の客観化・透明化をはかります。死刑制度については、死刑存置国が先進国中では日本と米国のみであり、EUの加盟条件に死刑廃止があがっているなどの国際的な動向にも注視しながら死刑の存廃問題だけでなく当面の執行停止や死刑の告知、執行方法などをも含めて国会内外で幅広く議論を継続していきます。」

その後、2011年10月、衆議院内閣委員会において、藤村修官房長官は、平岡秀夫前法相が死刑執行に慎重姿勢を示していることに関し、「野田内閣において死刑を廃止する方針はまったくない」と表明し、平岡大臣にかわり2012年1月に就任した小川法相は、「大変辛い職務ではあると思うが、職責をしっかりと果たしたい」と死刑執行に積極的な発言をしてきた。これらは民主党の政権公約に反するばかりか、死刑廃止に向かう国際的な潮流にも逆行するものであった。

さらに法務省では2010年8月より2011年11月まで「死刑の在り方についての勉強会」を開催してきたが、小川法相は2012年3月に打ち切りを決め、報告書を公表した。報告書では「死刑制度の存廃に関する主張については、廃止論と存置論で大きく異なっており、そしてそれぞれの論拠については各々の哲学や思想に根ざしたものであり、一概にどちらか一方が正しく、どちらか一方が誤っているとは言い難いものであるように思われる」としながら、他方で、勉強会では死刑冤罪被害者からの意見を聴取しないなど極めて不十分なものであり、敢えて打ち切りを強行したことは、執行準備のための措置であったと言わざるを得ない。

死刑廃止は今や国際的な趨勢である。これまでに国際人権基準の審査において、再三にわたり日本の死刑制度について勧告等を受けており、国連総会も繰り返し死刑廃止を視野に入れた死刑執行停止を求めている。2010年7月以来の死刑執行の事実上の停止状態は国際的に高く評価されていたところであり、今回の死刑執行は国際人権基準から見た日本の評価を失墜させることになった。

監獄人権センターは今回の死刑執行に強く抗議するとともに、死刑執行の停止、そして死刑制度廃止の政策的実現に向け、今後も取り組んでいく決意である。

以 上

小川敏夫法務大臣に対する要請書

2012年1月16日

法務大臣  小  川  敏  夫  殿

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-28-13-8F
菊田法律事務所気付
NPO法人監獄人権センター
TEL / FAX 03-5379-5055
代    表         村井敏邦
事務局長      田鎖麻衣子

要請書

第1 要請の趣旨
 1 国連拷問禁止委員会、国際人権(自由権)規約委員会による総括所見をふまえて、死刑制度に関して外部有識者等からなる調査会を設置し、死刑廃止に向けた調査検討を行うとともに、その間は死刑の執行を停止すること。
 2 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の規定とその運用の齟齬について調査を行い、行刑改革会議提言の理念に則った刑事被収容者処遇改革を行うこと。
 3 無期刑受刑者の仮釈放制度を見直し、受刑者自身に審査請求権を付与すること。
 4 罪を犯した人の更生と円滑な社会復帰を促進する施策の拡充を図ること。
 

第2 要請の理由

 日本の刑罰・刑事拘禁政策は、長年にわたり国際人権基準に照らし厳しい批判にさらされてきました。2009年の政権交代により、わが国の人権状況を国際水準へと引き上げる大きなチャンスが到来したものと、当センターとしても心より期待しましたが、残念ながら大きな進展がみられないまま、2012年を迎えました。もとより、わずかな期間で容易に成果が出せるほど、法務行政が直面する課題は容易なものではないことは、十分に承知しております。しかし、近時の法務行政をみるにつけ、政権交代の効果が発揮されず、改革に向かう姿勢そのものに疑念を抱かざるをえない場面も生じています。引き続き課題が山積する状況において、実現に向けてぜひとも優先的に取り組んで頂きたい事項を以下に掲げます。


1 死刑廃止を検討する死刑制度調査会の設置と死刑執行の停止
当センターは、アムネスティ・インターナショナル、国際人権連盟(FIDH)、世界死刑廃止連盟(WCADP)といった国際人権NGOとともに、日本の死刑問題につき、国連条約機関をはじめ国際社会に正確に伝えるという重要な活動を担ってきました。死刑の問題が、今や日本が抱える最大の人権問題であることは、国際社会の常識です。国連の条約機関や人権理事会による勧告においても、死刑執行の停止と、死刑廃止に向けた措置をとることが繰り返されております。また、飯塚事件の例にみられるように、誤った死刑執行の可能性を完全に断つ必要もあります。

2010年7月に千葉景子法務大臣(当時)による死刑執行がなされた後、同年8月から、法務省に死刑の在り方に関する勉強会が設置され、会合が重ねられてきました。しかし、残念ながらこの勉強会はあくまで省内のものであり、平岡秀夫前法務大臣らの努力にもかかわらず、死刑制度における具体的な問題点の指摘や、死刑制度に関する国民的議論の喚起には至らないまま、今日を迎えています。たとえば、千葉大臣はその在任中、すべての死刑確定者の精神状態を調べるように指示し、広範囲に精神鑑定が実施されたものの、心身喪失に該当するケースはなかったと報道されています(2011年2月11日付朝日新聞)が、その具体的な内容は明らかにされず、その後の議論にも活かされていません。ところが、その後も、心神喪失を理由として死刑執行停止を求める人権救済申立が、日本弁護士連合会になされているなど、死刑確定者の精神状態をめぐる問題は、依然として解明されないままです。死刑制度を運用する法務省内部の勉強会において、知識と理解を深めることには限界があります。今こそ、外部有識者等からなる調査会を設置する必要があります。

また、名称および形態のいかんをとわず、死刑制度の在り方について検討を進める一方で死刑の執行を継続することは背理です。大臣は、就任時の記者会見において、「大変つらい職務ではあると思いますが、私はその職責をしっかりと果たしていくのが責任である」「議論が必要だから、議論しているから、職責を果たさないということではなくて、やはり、職責そのものが辛い職務であるとは思いますが、果たすと考えております」と発言され、死刑執行に前向きな姿勢を示すと同時に、死刑制度に関する議論と執行問題とを切り離す意向を強調されました。さらに、その後の取材に対して「(死刑を)執行する」と明言されたとも伝えられています。しかし、他の刑罰と異なり、死刑の執行のみが法務大臣の命令によるものとされたのは、死刑という究極の刑罰がもたらす結果の重大性に鑑み、その執行について法務大臣の高度な政治的判断を認めたものです。したがって、確定記録も検討しないうちに「執行する」と述べることは、むしろ職責の放棄ともいえます。さらに、死刑の執行を継続した状態で、制度についての冷静な議論はなしえません。死刑制度をトータルに見直す作業を開始し、その間の死刑執行を停止することは、喫緊の課題です。

日本が、2011年の終わりを死刑執行のない状態で迎えたことを、国際社会は大いに歓迎し、日本の新しい法務大臣の姿勢に対しては、かつてないほどの注目が世界中から集まっております。法務大臣におかれては、死刑の執行停止を今後も継続されるよう、強く求めます。


2 刑事被収容者処遇改革の遂行
刑事収容施設および被収容者等の処遇に関する法律(刑事被収容者処遇法)は、その附則により、施行から5年以内に見直しを行うことが求められていましたが、その見直し時期であった2011年、結局、改正は規則レベルのものに留まりました。

しかし、施行から年数を経るにしたがい、当初の新処遇法の理念を蔑にした実務が、各地の刑事施設でみられるようになり、大きな人権問題となっています。とくに、外部交通に対する制約は、受刑者のみならず死刑確定者に対しても法の趣旨を無にする取扱いが拡大しており、こうした実務の横行を許す法の規定自体を見直す必要性が高まっています。また、徳島刑務所暴動事件にみられるように、先般の法改正で改革が見送られた医療や懲罰制度、そして代用監獄制度など、積み残しの課題も多くあります。また、名古屋刑務所事件という悲惨な人権侵害を経てもなお、刑事施設職員による被収容者に対する暴行事件が後を絶たず、刑務官に対する人権教育の根本的な見直しも喫緊の課題です。

附則の文言にとらわれず、刑事被収容者処遇法の運用状況の調査を継続し、必要な法改正を行うべきです。


3 無期刑受刑者の仮釈放制度の見直し
現状の無期刑の実態は、すでに仮釈放の可能性をほとんど断たれた「終身刑」と化しています。社会復帰の適格がありながら、高齢で帰住先がないために、一生を塀の中で終える人も少なくありません。法務省における勉強会の結果を踏まえ、無期刑受刑者の仮釈放実態については情報公開が進み、仮釈放審査にも一定の改善が加えられましたが、無期刑受刑者に対する仮釈放審理を求める請求権の付与や、その請求にあたっては代理人弁護士の選任を可能とすること、審理手続を準司法化し公正さを高めるなどの改革については、まったく手つかずのままです。

また、死刑廃止の議論との関連においても、たとえば、仮釈放申請までの最低服役期間など、無期刑受刑者に対する仮釈放制度を新たな角度から議論することが必要と考えます。


4 更生と社会復帰のための施策
裁判員制度が実施され、市民の間でも、罪を犯した人の更生や社会復帰への関心が大いに高まってきました。その反面、更生・社会復帰に向けた刑務所内での処遇プログラムはいまだ内容・対象範囲ともに限られたものに留まっており、各施設に配置された社会福祉士等が果たす役割も限定され、本当に支援を必要とする人々のニーズには応じられていないのが実情です。更生と社会復帰のための支援は、罪を犯した人々が社会の一員としての生活を再建していくために不可欠のものであり、その結果として再犯も防止されるという極めて重要なものです。こうした目標および効果は、刑務所での処遇をいたずらに厳しく制限的にしたり、さらには厳罰化を進めることで達成されるものでは決してありません。

厳しい予算状況下ではありますが、必要な手当てをすることによって、必ずプラス効果が現れる分野であり、前向きな取り組みを進められるよう求めます。

以  上

死刑廃止についての議論を開始し、死刑執行の停止を求める緊急アピール

いま、日本の社会では、かつてないほど死刑をめぐる議論が盛んになっています。
千葉景子法務大臣(当時)による死刑執行と、それに続く東京拘置所の刑場公開は、世界の耳目を集めました。裁判員裁判における死刑判決はいずれもマスコミで大きく取り上げられてきました。とりわけ、絞首刑の残虐性が正面から問われた事件は、市民が初めて死刑の合憲性判断に関与した事案として注目を浴び、同事件を契機として、朝日新聞(11月4日付)、西日本新聞(11月11日付)、信濃毎日新聞(11月2日付)、愛媛新聞(11月3日付)、茨城新聞(11月13日付)等の社説でも取り上げられるなど、死刑制度の是非に関する議論の開始を求める声が高まりました。足利事件・布川事件と、相次ぐ無期刑受刑者に対する再審無罪判決は、過去の死刑判決に対する疑問をも生み出しています。さらに、オウム真理教関連事件で起訴された13名の元教団幹部らに対する死刑判決の確定を受け、今後の死刑執行の是非をめぐっては、様々な意見が飛び交っています。

2011年の終わりを目前に控えた現在、死刑の執行が準備されているといわれています。しかし、果たしてそれでよいのでしょうか。死刑制度をめぐっては、長い間、内外から様々な問題点が指摘されてきました。それらの一端が、今日、ようやく人々の目に触れ、問題意識が芽生えるまでになってきたのです。こうした状況において、私たちの社会が選択すべきなのは、死刑の執行を急ぐことではありません。今こそ、国会において、死刑制度に関する徹底した議論と調査が開始されるべき時です。そして、冷静に議論・調査を行う環境を確保するため、少なくとも議論が行われている間、死刑の執行は停止される必要があります。死刑は、人間の生命を奪う究極の刑罰です。政治における党派の利害対立を超え、真摯かつ冷静な議論がすみやかに開始されることを、求めます。

2011年12月13日

雨宮 処凛(作家)
池田 香代子(翻訳家)
池田 浩士(京都大学名誉教授)
太田 昌国(評論家)
香山 リカ(精神科医)
川村 湊(文芸評論家)
木谷 明(元裁判官、法政大学教授)
坂上 香(津田塾大学教員、ドキュメンタリー映像作家)
新谷 のり子(歌手)
田口 真義(裁判員経験者)
土井 香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
中山 千夏(作家)
森 達也(映画監督、作家)
(50音順)
※この緊急アピールの取りまとめは、アムネスティ・インターナショナル日本、死刑廃止条約の批准を求めるフォーラム90のご協力を得て、監獄人権センターが担いました。

 
藤村内閣官房長官の発言に対する抗議声明

2011(平成23)年10月28日

内閣総理大臣 野田佳彦   殿
内閣官房長官 藤村修   殿

抗 議 書

 報道によれば、本年10月26日、衆議院内閣委員会において、藤村修官房長官は、平岡秀夫法相が死刑執行に慎重姿勢を示していることに関し、「野田内閣において死刑を廃止する方針はまったくない」と表明したとされています。さらに、「最後の最後には悩み抜いて(執行する)、というのが法務大臣の役割だ。平岡法相にしっかりと自分の考え方を述べよと言いたい」とも述べた、ということです。私たちは、死刑制度をめぐるこの藤村修官房長官の発言に対し、強く抗議するものです。

 民主党は、その「政策インデックス2009」において、次のように掲げています。
「死刑存廃の国民的議論を行うとともに、終身刑を検討、仮釈放制度の客観化・透明化をはかります。死刑制度については、死刑存置国が先進国中では日本と米国のみであり、EUの加盟条件に死刑廃止があがっているなどの国際的な動向にも注視しながら死刑の存廃問題だけでなく当面の執行停止や死刑の告知、執行方法などをも含めて国会内外で幅広く議論を継続していきます。」

平岡秀夫法務大臣が、「死刑の在り方についての勉強会」の会合はもとより、様々な場で死刑執行について慎重な姿勢を示し、かつ、死刑制度に関する新たな国民的議論の場の構築を模索しているのは、まさに上記の政策インデックスを具体化するものです。さらに、法務大臣は死刑の執行を命じるために存在するものではありません。むしろ、日本の死刑制度が憲法さらには国際人権法に照らして様々な問題点を有していることが明らかとなりつつある現在、そのような制度下での死刑執行は停止することこそ、法務大臣に求められている職責です。上記の藤村官房長官の発言は、日本の死刑制度に対して内外から指摘される重大な問題点を無視し、議論を封じ込めると同時に、法務大臣に対して死刑執行への圧力をかけるものであって、断じて容認することはできません。

平岡法務大臣によるイニシアティブを見守り、死刑廃止をめぐる議論を行うための環境づくりを支援することこそ、内閣総理大臣そして官房長官の役割だといえます。

私たちは、藤村官房長官が、前記発言をすみやかに撤回されると同時に、国会において、死刑廃止に関する議論が展開されるための基盤づくりに努力されるよう、強く求めます。

死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク
死刑廃止を求める市民の声
NPO法人監獄人権センター
 

 
取調べの全面可視化(全過程の録音・録画)の早期実現を求める要請書

民主党法務部門会議
座長 松野 信夫 様

取調べの可視化を求める市民団体連絡会
〈呼びかけ団体〉
アムネスティ・インターナショナル日本
監獄人権センター
日本国民救援会
ヒューマンライツ・ナウ

私たち「市民団体連絡会」は、取調べの全面可視化の実現をめざし、昨年12月、日弁連、東京弁護士3会と共催して集会を開催した団体が中心になり、結成した団体です。

貴部会が取調べの全過程の録音・録画の実現にむけ奮闘されていることに対し、敬意を表するものです。近年、志布志事件、氷見事件、そして無期懲役が確定していた足利事件や布川事件で冤罪が晴らされ、社会的に大きな関心を呼びました。そのいずれの事件でも、犯人でないにもかかわらず、ウソの「自白」をし、その「自白」が冤罪の原因となっています。

昨年起きた「厚労省元局長事件」を契機に、検察の在り方が問われ、江田五月法相(当時)は検察に対し取調べの可視化の試行を指示し、法制審議会に特別に部会を設置し、取調べの可視化の問題が検討されています。

しかし、警察や検察は、取調べの全面可視化に強く反対し、一部の録音・録画にとどめようとしています。

このようなもとで、貴部会は8月25日、冤罪を防止するために、警察・検察の取調べの録音・録画が不可欠であり、「身柄事件か在宅事件かを問わず、まだ被疑者・参考人を問わず、取調べの全過程を録音・録画する必要がある」との提言を発表されました。

民主党は、取調べの全面可視化をマニュフェストにも掲げられています。取調べの全過程の録音・録画を早期に実現するために、与党としてイニシアチブをとられることを要請します。


死刑の執行を停止し、死刑廃止に向けた議論を求める共同要請書

法務大臣 平岡秀夫 様

私たちは日本政府に対し、死刑の執行を正式に停止し、死刑制度に関する情報公開をさらに進めると共に、死刑廃止に向けた公の議論を進めるよう要請いたします。

平岡法務大臣は9月2日の就任記者会見において、死刑執行について「大変厳しい刑罰であり、慎重な態度で臨むのは当然」との姿勢を示され、「国際社会の廃止の流れや、必要だという国民感情を検討して考えていく。考えている間は当然判断できないと思う」と述べて当面執行しないとの認識を示された、と報道されています。

私たち死刑の廃止を求める個人および団体は、死刑の執行に慎重な姿勢を示し、国際的な死刑廃止の動向を踏まえて日本の死刑制度について社会全体で検討していきたいという大臣の姿勢に、賛同の意を表明いたします。

日本政府は、8月30日に「江田五月法務大臣の死刑執行命令書への署名拒否に関する質問主意書」に対する答弁書を閣議決定しました。この答弁書において政府は、刑事訴訟法475条2項の規定について、同規定は訓示規定であり、死刑という人の生命を絶つ極めて重大な刑罰の執行に関することであるため、その執行に慎重を期し、判決確定の日から六カ月以内に死刑執行命令がなされなくとも違法ではなく、職務怠慢や憲法違反にはあたらない、という旨の答弁を行っています。

そもそも日本政府はこれまで、国際社会から死刑の執行をただちに停止し、死刑制度の廃止に踏み出すよう繰り返し勧告を受けています。特に、2007年、2008年、2010年の3回にわたって、死刑存置国に対して死刑の執行を停止するよう求める決議が、国連総会で100カ国以上という多数の賛成を得て採択されています。

また国連の自由権規約委員会は、日本政府に対し、「人権の保障と人権の基準は世論調査によって決定されるものではないということを強調する」(1998年)と指摘し、「世論調査の結果にかかわらず、死刑の廃止を前向きに検討し、(中略)国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきである」(2008年)と、世論をリードする形で死刑廃止への一歩を踏み出すよう明確に勧告しています。

近年では、志布志事件や足利事件、そして布川事件など、相次いで冤罪事件が明らかになり、代用監獄や捜査取調べ中の自白強要など、日本の刑事司法における人権侵害が多数報告されています。福岡事件や菊池事件、飯塚事件、さらに冤罪を主張しながら獄中死させられた帝銀事件や三崎事件など、死後再審の請求もいくつも申し立てられています。また、国連の人権機関からは、深刻な精神障がいを持った死刑囚の処刑など、国際的な人権基準に違反した処刑の危険性についても、繰り返し懸念が示されています。

まさに今、死刑制度を含む日本の刑事司法制度全体の抜本的な見直しが求められているのです。こうした観点から考えれば、死刑の執行に慎重を期するだけでなく、死刑の執行を正式に停止し、死刑制度に関する情報公開をさらに進めると共に死刑廃止についての公の議論を進めていくことこそ、人権擁護が任務である法務大臣としての職責を果たすことであると私たちは考えます。

近年、全世界で死刑を執行する国は、毎年20カ国前後にとどまっています。すでに世界の7割以上の国ぐにが死刑を廃止しており、死刑廃止の動きは、欧州諸国だけでなく、ラテンアメリカや中央アジア、アフリカ諸国にも浸透しています。東アジアにおいても、韓国が今年9月8日に死刑執行停止5000日を迎え、モンゴルでは2010年に死刑執行の停止を正式に宣言しています。中国をはじめ死刑を強固に支持する国々の中にも、死刑制度の運用を国際人権基準に沿ったものにしようとする肯定的な変化が見られます。

いま世界は、重大な犯罪に対し、罪を犯した人の更生に重点を置いた行刑制度や犯罪被害者支援の充実、あるいは貧困や差別問題に取り組む社会政策などによって対応しようとしています。人間の最も基本的な権利である生きる権利を奪う死刑という制度は、人権を保障すべき現代の刑事司法にあっては、存在してはならないものです。日本政府には、最大限の努力を払って、死刑に頼らない刑事司法制度を構築すべき国際的な義務があります。

2011年10月5日

死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
NPO法人監獄人権センター
 

新時代の刑事司法制度特別部会運営に関する意見書

2011年6月22日

法務大臣江田五月殿
法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会委員各位

取調べの可視化を求める市民団体連絡会
(呼びかけ団体)
アムネスティ・インターナショナル日本
NPO法人監獄人権センター
日本国民救援会
特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ

 私たちは取調べの可視化(全過程の録音・録画)の実現を求める市民団体によって組織された取調べの可視化を求める市民団体連絡会です。私たち市民団体は、刑事司法制度特別部会で議論されるに当たり、取調べの全過程の録音・録画の実現を強く求め、以下三点について要望致します。

1.取調べの全過程の録音・録画の法整備に向けた議論を討議の優先事項とすること
新たな捜査手法の導入等、取調べの可視化とは直接関係の無い論点に優先して、取調べの全過程の録音・録画の実現について討議してください。

2.冤罪被害者の意見を聴取すること
取調べの全過程の録音・録画の法整備に向けて討議する際には、冤罪被害を受けた多くの当事者の意見を聴取してください。

3.審議内容の情報公開を行うこと
市民に対して開かれた議論とするために、議事を公開し、発言者の氏名を明記した議事録の公表を強く要望致します。

以 上

呼びかけ団体連絡先
東京都千代田区神田錦町2-2 共同ビル4階
アムネスティ・インターナショナル日本
TEL 03-3518-6777

東京都千代田区神田小川町3-28-13-807菊田法律事務所気付
NPO法人監獄人権センター
TEL 03-5379-5055

東京都文京区湯島2-4-4 平和と労働センター5階
日本国民救援会
TEL 03-5842-5842

東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル3F
特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ
TEL 03-3835-2110 
 

賛同団体
国際人権活動日本委員会
社団法人自由人権協会(JCLU)
人権と報道・連絡会
菅家さんを支える会・栃木
富山(氷見)冤罪国賠を支える会
名張毒ぶどう酒事件全国ネットワーク
袴田巖さんの再審を求める会
布川事件・桜井さん、杉山さんを守る会
無実のゴビンダさんを支える会
無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会
 

私たち市民団体は、いまこそ取調べの可視化(全過程の録音・録画)を実現するよう日本政府に求めます。

「志布志事件」、「足利事件」、「氷見事件」、そして「厚労省元局長事件」をはじめ、ここ数年で明らかになった多くのえん罪事件は、長期間にわたる代用監獄での勾留と密室における取調べが、無実の人を虚偽の自白に追い込み、えん罪を生み出すという、日本の刑事司法の問題点を明らかにしました。

こうした刑事司法の問題点は、5 月24 日に、水戸地方裁判所土浦支部が再審無罪判決を言い渡した「布川事件」でも改めて浮き彫りになりました。裁判所は、この事件で強盗殺人罪により無期懲役刑に処せられた桜井昌司さん、杉山卓男さんの捜査段階における自白の信用性を否定し、その任意性も疑いを払拭できないなどして再審無罪の判決を言い渡しました。

警察、検察、裁判所など法の執行に携わるすべての関係者および関係機関は、こうした相次ぐえん罪・再審無罪事件について真摯に反省し、二度とえん罪を生みださないために、国際人権基準に沿って、再発防止に向けた具体的な刑事司法制度の改革を早急に行う必要があります。

特に、日本政府は、国連の人権諸機関が再三にわたって勧告している、取調べの全過程の録音・録画を早急に導入すべきです。取調べの全過程の録音・録画は、多くのえん罪被害者、そして、日本の大多数の市民が求めている喫緊の課題であると同時に、日本の刑事司法を国際人権基準に適ったものとするための全面的改革に向けた第一歩です。

この間、度重なるえん罪事件の発生による社会的批判を受け、法務省や警察庁その他捜査機関においても、可視化の必要性が検討されています。また、「厚生労働省元局長事件」を受けて法務大臣が設置した「検察の在り方検討会議」は、今年3 月31 日に提言書を公表し、特捜部及び特別刑事部において取調べの録画・録音を積極的に試行するとともに、知的障がいによりコミュニケーションに支障のある被疑者等に対する検察官の取調べについて、検察の運用により、録音・録画の試行を行うことを提言しています。この提言を受け、江田五月法務大臣は、検察庁特捜部及び特別刑事部の独自捜査事件で身体を拘束した事件について、全過程の録音・録画を含む、録音・録画の試行を指示しています。しかしながら、全過程の録画の試行が実施される事件は一握りにすぎないと考えられ、この間問題となってきたえん罪事件の再発防止策として十分なものとは到底いえません。

私たちは、江田法相による試行の決定を評価しつつも、取調べの全過程の録音・録画を基本とした立法作業を早急に進めることを政府に要請いたします。そして、この立法の一刻も早い実現のために与野党が十分に協力するよう、ここに強く呼びかけます。

2011年5月26日
取調べの可視化を求める市民団体連絡会

「取調べの可視化を求める市民団体連絡会」は、2011 年12 月2 日に開催された大集会「待ったなし!今こそ可視化の実現を」をきっかけに立ち上がった連絡会です。

呼びかけ団体
アムネスティ・インターナショナル日本
監獄人権センター
人権市民会議
日本国民救援会
ヒューマンライツ・ナウ


東北地方太平洋沖地震に関する声明

2011年3月12日

内閣総理大臣 菅 直人 殿
法務省矯正局長 三浦 守 殿
 

東京都千代田区神田小川町3-28-13-8F
菊田法律事務所気付
TEL/FAX:03-5379-5055

NPO法人監獄人権センター
代表理事 村井敏邦
事務局長 田鎖麻衣子
 

2011年3月11日14時46分東北地方太平洋沖地震が発生しました。被災された方々への同情と亡くなられた方々への深い哀悼の意を表します。

被災した刑事施設も多く、不安の中眠れぬ夜を過ごされたことと思います。監獄人権センターは、とりわけ被災地域にある拘禁施設の職員・被拘禁者のみなさまに深い同情の意を表します。

刑事施設においては、平素より水へのアクセスが著しく制約されています。私たちは、災害時における、必要な電気、水、食料等の必要最低限の資源の十分な確保について懸念しています。

今後、関係当局におかれましては、被災地域にある刑事施設における電気、水、食料等の確保について緊急にその正確な情報を確認し、必要な対策を為されるよう特段のご配慮をするよう強く要望いたします。
以 上

監獄人権センターで把握している東北地方太平洋沖地震被災地域の刑事施設の状況

*監獄人権センターで確認した情報(4月19日現在)。
報道によると、法務省は全国の63の刑事施設に収容されている受刑者等約2800人が、東日本大震災の発生後1カ月間に、計2156万円の義援金を被災地に送金したことを公表しました。

監獄人権センターには受刑者より、加古川刑務所において受刑者の要請を受けて、社会福祉法人中央共同募金会に限り受刑者が義援金を手数料不要の現金書留にて送ることができるようになったとの情報がありました。

*監獄人権センターで確認した情報(4月12日現在)。

被災地域の矯正施設の被災状況と対応状況について(参議院議員吉田忠智事務所提供)

(クリックするとPDFファイルでダウンロードができます)

*監獄人権センターで確認した情報(3月30日現在)。
・宮城刑務所では3月22日より手紙の発信ができるようになりました
・報道によると、いわき拘置支所、郡山拘置支所の被告らが3月12日、東京や栃木の施設に移送されました。郡山拘置支所については今月中にも戻す予定、いわき拘置支所については原発事故の推移を見て判断するとのことです。
詳しくはこちら をご覧ください(外部サイト)

*監獄人権センターで確認した情報(3月28日現在)。
宮城刑務所は3月17日より面会が再開しました。

*監獄人権センターで確認した情報(3月20日現在)。
福島刑務所は、福島第一原発から60km以上、福島刑務所いわき拘置支所は約43kmの距離にあります。現在、福島第一原発から半径20キロメートル以内の人は避難、20キロ~30キロの人は屋内退避となっていますが、両施設はこの範囲には入っていません。

*仙台の人権NPOワールドオープンハートさんからの提供情報(3月16日現在)
・3月17日より仙台拘置支所での面会が再開しました。
・宮城刑務所については面会再開は未定。

人権NPOワールドオープンハートさんのブログで最新情報を掲載しています

人権NPOワールドオープンハートさんのブログ


*以下は、地震発生後に国会議員が法務省より入手した情報等による(3月16日現在)。
1)建物の損壊等について
○宮城刑務所収容棟(RC構造・3階建)において1階から3階まで二本の亀裂が生じて、一部収容不能となっている。
○黒羽刑務所の外塀に数箇所亀裂が生じて要警戒となっている
○仙台矯正管区の庁舎が使用困難となり、国土交通省東北地方整備局において構造等の調査を実施している。なお、同管区機能は、現在、宮城刑務所に移転している。
2)電気について
在仙台の施設、福島刑務所、水戸刑務所において大きな支障が生じている状況であるが、停電に対しては自家発電等で対応しており、深刻な状況にはない。ただし、燃料切れ等が生じた場合、医療面においては、人工透析、人工呼吸器等が稼働せず、また、セキュティーシステム等も稼働しなくなり、施設の保安警備に支障が生じるおそれがある。
3)人的被害について
喜連川社会復帰促進センターの職員1名受刑者数名が擦過傷等軽症を負っただけで、職員・収容者とも大きな被害はない(職員の家族については、まだ多数所在確認ができていない)。
4)食料・飲料水について
土曜日から日曜日の深夜にかけて東京管内等から緊急輸送し、数日間は対応可能であるが、今週末くらいから次の対応を考えなければならない。
5)今後について
最大の問題は、被災地と計画停電が予定されている地域の自家発電するための燃料の枯渇で、医療設備等も多くあり、関係機関と折衝中。
 


NGO共同声明「市民が死刑判決に参加する社会に反対し、死刑廃止に向けた議論を求める」

呼びかけ団体:
死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
NPO法人 監獄人権センター
 

私たちは、すべての人びとの人権を保障するという観点から、いかなる場合においても、国家が市民の名の下に死刑という判断を下してはならないと考えます。そして、死刑制度について十分な情報公開や議論もなされないまま、市民が直接関与して多数決で死刑を言い渡すことができる現在の裁判員制度が進んでいくことに対し、改めて強い懸念を表明します。そして、日本政府および国会に対し、ただちに死刑執行を正式に停止し、死刑廃止に向けた公的な議論を進めるよう要請します。

死刑は、生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的かつ尊厳を傷つける刑罰です。いまや、世界の7割の国ぐにが、この死刑という刑罰を拒否し、法律上あるいは事実上の廃止に踏み切っています。死刑は、暴力を制圧するために暴力を用いるという、憎しみと報復の文化を広げるだけです。そして、このような制度への協力を市民に求めることは、暴力の文化を社会のすみずみに広げることに他なりません。国家がなすべきことは、あらゆる人びとの人権を尊重しつつ、犯罪が起こりにくい社会を作ることであり、死刑という国家の殺人によって、悲しむ遺族を増やすことではないはずです。

日本の死刑制度は、依然として秘密主義のベールで隠されています。例えば、死刑確定者の日々の処遇状況や健康状態、死刑執行命令を出すに至る一連の手続き、さらに死刑執行に関わる刑務官や医務官にのしかかる精神的な負担など、死刑制度の現実は不透明なままです。裁判員に選ばれる市民に対して、死刑制度の問題性や残虐さなどを十分に認識した上で、量刑を適切に判断することができるような情報はほとんど提供されていません。

また、日本の刑事司法制度では冤罪事件が相次ぎ、捜査取調べ中の自白強要や捜査当局による証拠改ざん事件など、数多くの問題が明るみに出ています。国連などからも、再三にわたって日本の刑事司法が国際人権基準を満たしていないとして、強い懸念表明や改善勧告がなされています。死刑制度についても、戦後4件の再審無罪事件があり、無実を叫びながら死刑を執行された飯塚事件のように、死後再審の請求も申し立てられています。

私たちは、日本政府に対し、ただちに死刑執行を正式に停止するよう要請します。また同時に、人の命を奪うという重大な判断と責任を裁判員に負わせることで死刑制度を社会に広げるのではなく、今こそ立ち止まって、死刑制度の現実についてきちんとした情報公開を行い、死刑廃止に向けた公的な議論を進めるよう要請します。

2010年11月16日
【共同声明・賛同団体: 21団体】

国連・憲法問題研究会
ビデオプレス
死刑廃止国際条約の批准を求める四国フォーラム
ハンドインハンド岡山
出版労連 三一書房労働組合
死刑廃止を求める市民の声
日本基督教団東京復活教会
かたつむりの会
死刑廃止フォーラムinおおさか
林眞須美さんは無実! あおぞらの会
日本消費者連盟関西グループ
日本キリスト教婦人矯風会「法制度を考える会」
NPO法人青森ヒューマンライトリカバリー
憲法9条世界へ・未来へ秋田連絡会
日本キリスト教団 北松戸教会
全国「精神病」者集団
無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会
東京拘置所のそばで死刑について考える会(そばの会)
大道寺将司くんと社会をつなぐ交流誌 キタコブシ
「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク
永山子ども基金
 

大阪刑務所熱中症死亡事件に関する声明

2010 年 8 月 25 日
NPO法人監獄人権センター
代表  村井敏邦
事務局長  田鎖麻衣子
 

1 報道等によれば、本年7月17日、大阪刑務所において、保護室に収容中であった60代の男性受刑者が死亡した。死因は熱中症とみられている。男性は、大声を出すなどしたために15日午後、保護室に収容された、とされている。17日は朝から水分を摂らず、また昼食もとらず、午後4時ごろ、刑務官が巡回した際、うつぶせで倒れているのに気付いたが、刑務官の呼び掛けに反応せず、既に意識がなかったという。なお刑務所側は、保護室内にはエアコンが設置されており、室温は24~26度に設定され、男性は水分もとっており、健康診断でも問題はなかった旨、発表しているもようである。さらに、8月4日には、高知刑務所において40歳代の女性受刑者が熱中症の疑いで死亡した。この受刑者が保護室に収容された事実があったか否かは定かでないが、同月1日に熱中症でいったん緊急搬送された経緯があったという。いずれにしても緊急搬送後は刑務所に戻されている事実に照らせば、その後の医療措置が適切になされていれば死亡に至ることはなかったと考えられる。これらの悲惨な事案から指摘できるのは、保護室収容自体の問題点、および、刑事施設全般に関わる非人道的な保健衛生・医療体制の不備である。

2 保護室は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第79に規定され、被収容者に自傷・他害のおそれがある場合や、刑務官の制止に従わず大声・騒音を発するとき、施設の設備等を損壊・お損するおそれがあるときに、刑事施設の長の命令により収容することができる、特殊な構造の施設である。すなわち、自殺等を防止するという観点から、窓は採光用のガラスブロックがあるのみで密閉された空間となっており、あらゆる突起物がなく、トイレも洗面台も床に埋め込まれ、注水や排水の操作を被収容者自らが室内で行うことはできない。摂取できる水分は、食事の際に提供される水・麦茶等、そしてペットボトルに入れられた水に限られる。もちろんペットボトルの水がなくなっても、被収容者が自由に補充することはできない。こうした保護室の有する危険な性格から、法は、収容に際しては、刑事施設の職員である医師の意見を聴くように定めているが、直接の診察が要件とされていないため、職員からの電話による問い合わせを受けて、医師が保護室収容に差し支えなしとの意見を述べているのが実態である。

今回の事案では、男性受刑者が意識を失い倒れる以前に、少なくとも大声を発する状態ではなくなっていたと考えられ、その時点で直ちに保護室収容が解除されなければならなかった。意識を失った状態に至るまで収容を継続していたこと自体が、違法である。また、死亡した17日は日曜日であったことからも、漫然と収容を継続していたのではないかとの疑念を払しょくしえない。さらに、保護室収容に際して、医師がどのような資料に基づき、いかなる意見を述べたのかは全く明らかにされていないが、収容開始時から収容中に至るまで、医師が受刑者を直接診察した事実はないと推察される。

保護室(保護房)における熱中症での死亡事故は過去にも繰り返し生じている。1996年7月25日には松江刑務所浜田拘置支所において44歳の男性受刑者が熱中症により死亡(遺族が国家賠償請求訴訟を提起し、国の敗訴が確定)した。また本件と同じ大阪刑務所では、1995年8月に当時61歳の男性受刑者が熱中症で死亡しているほか、報道によれば、3年前にも熱中症による死亡事案が発生しているとのことである。これらの二事案が保護室(房)収容を機としたものか否かは明らかでないが、いずれにしろ、刑事施設における被収容者の身体の安全管理が、極めて軽視されてきた結果の惨事であることは間違いない。

3 また、刑事施設においては、冷暖房設備が設置されている場合であっても、冬季の北海道など例外的な場合を除き、被収容者の生活空間で設備が稼働されることはない。また、水の使用は保護室内に限らず極めて厳しく制限され、許可された範囲外の使用は懲罰の対象とされる。その理由はコストの抑制にある。冷房がなく、水も自由に摂取できない状況では、熱中症に至るのは当然である。逆に冬季には、寒冷地域ではなくとも凍傷となる事例が報告され、凍死が疑われる事案も発生している。

4 監獄人権センターでは、名古屋刑務所事件に端を発した受刑者処遇法制定作業の過程より、医師による意見の聴取は必ず診察を経たものでなければならないこと、また、保護室収容期間は無制限に更新が可能とされているが、これに上限を求めること、そして、保健衛生・医療体制の抜本的改革のため、刑事施設医療を厚生労働省のもとに移管すること等を求めていたが、これらが実現されることはなかった。

刑事施設において、被収容者の生命・身体の安全よりも、規律・秩序の維持とランニングコストの抑制を重視するという誤った姿勢が抜本的に改められない以上、同様の悲劇は不可避であるといってよい。再発防止のためには、刑事施設における保健衛生・医療をすべて法務省管轄から切り離し、厚生労働省の管轄下におき、社会一般における保健衛生・医療と同様の水準を確保することが必要である。

よって監獄人権センターは、法制定から5年目となる見直し時期を来年に控えた今、直ちに次の作業がなされることを求める。

(1)居室内の気温設定をはじめとする居住環境の整備、スポーツドリンクを適時適切に供給するなど、熱中症対策を徹底すること。
(2)2003年以降の死亡帳を精査し、刑事施設内における不審死事案、とりわけ保護室収容関連案件について徹底して調査すること。その際、必要があれば2003年以前の事案についても積極的に調査を行うこと。
(3)保護室収容の運用を直ちに改め、医師による事前および収容中の診察を義務的とすること。
(4)保護室収容につき定めた法第79条をはじめ、行刑改革顧問会議の活用等により、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の全面的な見直し作業を行うこと。
(5)上記と並行し、保健衛生・医療を厚生労働省下に移管するための検討・準備作業を開始すること。


千葉景子法務大臣による死刑執行に抗議する

2010 年 7 月 28 日
NPO法人監獄人権センター
事務局長  田鎖麻衣子
 

菅内閣の千葉景子法相は本日(7月28日)、篠沢一男さん(東京拘置所)、尾形英紀さん(東京拘置所)の2人に対し、死刑を執行した。今回の執行は千葉法相が2009年9月に就任して以来、初めての死刑執行である。

千葉法相は就任以来一貫して、死刑執行については命の問題であるので慎重に判断をする旨発言し、2010年7月に行われた参議院選挙落選後も民間人閣僚として「死刑は大変重い刑であり、これまでも慎重に対応されてきた」と発言していた。千葉法相は、大臣就任以前は「死刑廃止を推進する議員連盟」のメンバーであり、また、2009年7月28日以来、昨日まで1年間にわたり死刑施行を行わなかった点において、国際的にも高い評価を受けていた。しかし、最後の執行からちょうど1年という節目に、死刑廃止に向かう国際的潮流に抗うかのように、死刑は執行された。この死刑執行に対し、監獄人権センターは怒りと悲しみをもって、強く抗議するものである。

千葉法務大臣は、周囲の期待にも、また自らの表明していた意向にも反して、死刑制度の問題については就任以来、国民的議論をする機会を作ることも、政府・国会での議論を喚起することもなかった。本日、千葉大臣は、自ら死刑執行に立ち会ったことを明らかにしたうえで、今後は刑場を公開し、また、死刑執行に関する勉強会を設置する旨を表明したという。しかし、様々な欠陥を抱え国内外からの批判に耐え得ない状況に至っている死刑制度の現状を踏まえれば、幅広い議論の喚起や、その前提となる情報の公開という作業は、とうに開始されなければならなかった課題である。敢えて、尊い2名の人命を犠牲としたうえで開始されるべきものではなかった。

とりわけ、尾形英紀さんは一審で死刑判決が出された後、控訴を自ら取り下げていた。これは、上訴を尽くさず取り下げている人が死刑執行の対象になりやすいという近年の傾向を反映したものである。2008年10月、国際人権(自由権)規約委員会より「上訴権を行使しないまま、死刑の宣告を受ける被告人の数が増加していること」に懸念が表明されているが、再審査を経ないで死刑判決が確定することは、冤罪による死刑執行の可能性を高めるものである。

また同委員会は「政府は、世論調査の結果に拘わらず死刑廃止を前向きに検討し、必要に応じて国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきである。」とも勧告した。政治家は、人権問題に関しては、世論に迎合するのではなく、ましてや既存の制度をかたくなに維持しようとする官僚機構に屈服するのでもなく、必要な情報を公開・提供し、社会の議論を喚起し、自ら世論をリードする責務がある。

今後、誰が法務大臣の任に就くことになろうと、その職務遂行に必要なものは、最も基本的な人権である生命権の保障を確実にするため、因習にとらわれない強い信念とリーダーシップである。そのためにも、これから設置されるという死刑制度に関する勉強会には、これまで死刑制度を真摯に問い続けこれに反対してきた市民団体からも、複数の代表の参加が確保されるべきである。監獄人権センターは、死刑執行の停止、そして死刑制度廃止の政策的実現に向け、今後も取り組んでいく決意である。


NGO共同声明 : 取調べの全面可視化を求める共同声明

私たちは、法務省が6月18日に発表した「取調べの可視化に関する省内勉強会の中間取りまとめ」において、可視化に関する議論が後退していることに懸念を表明します。

民主党は、2009年総選挙に際して発表したマニフェスト2009において、「消費者・人権」と題する項目を設け、同項目の中で「取り調べの可視化で冤罪を防止する」と明記しました。千葉景子法務大臣も、このマニフェストに沿って取調べの全面可視化を進めていくことを表明し、法務省内に勉強会とワーキング・グループを設置し、可視化に向けた検討を進めてきました。

しかし、2010年の通常国会では取調べ可視化法案の提出は見送られ、2010年6月に発表された民主党のマニフェスト2010から「人権」の項目が消え、取調べの可視化に関する記述もなくなっています。

さらに、法務省が今回発表した「取調べの可視化に関する省内勉強会の中間取りまとめ」では、「被疑者取調べの全面的な可視化の実現を基本」として検討を進めているとしつつも、全事件の可視化は現実的ではないとし、さらに取調べの全過程の可視化が捜査に悪影響を与えるとの懸念を示しています。一方、新たな捜査方法の導入についても検討したいとして、2011年6月以降に検討結果を取りまとめるという方針を示しています。

現在の刑事司法制度では、代用監獄である警察留置場に身柄を確保した上で、弁護人の立会いがないままの長期間にわたる取調べが常態化しています。その結果、自白の強要による冤罪事件など、深刻な人権侵害が相次いで起こっています。国際人権基準に沿った適正な捜査・取調べを実現し、人権侵害を防止するためには、代用監獄の廃止や取調べ時間の制限等による規制とともに、取調べそのものを監視する体制が必要であり、取調べの全面可視化は必要不可欠です。後に無罪判決を受けた元死刑囚や2010年3月に再審無罪となった菅家利和さんをはじめ、様々な冤罪事件の被害者の多くが、自白を強要されるに至った自らの体験を語る中で、取調べの可視化を訴えています。

取調べの可視化を進めている諸外国では、違法な取調べを抑制し、虚偽の自白を防止するだけでなく、信用性の高い証拠が作成され、裁判における正確な事実認定に寄与する効果が見られたとの報告があります。また、国連の拷問禁止委員会や自由権規約委員会では、繰り返し日本の刑事司法が国際人権基準に明らかに違反していることが指摘され、取調べ段階での全過程の録画・録音および弁護人の立会いを導入すべきであるとする勧告が出されています。

そもそも、法務省の勉強会およびワーキング・グループは、閣僚関係者以外はメンバーが明らかでなく、その議事録なども公開されていません。また、同省の調査計画では、国内の捜査経験者からのヒアリングを行うとする一方で、冤罪被害者など実際に取調べの中で人権侵害を受けた人びとの声を聞く調査が含まれていません。

日本政府および主要な政権党たる民主党は、取調べの可視化の議論において、現在の刑事司法制度が多くの冤罪被害者を生み出している事実を踏まえ、被疑者の権利保障を国際人権基準に合致させることを第一の目的とすべきです。そして、刑事司法の透明化を実現するために、新たな捜査手法の導入等の議論とは無関係に、まず取調べの全面可視化に踏み切ることが早急に求められています。

私たちは、日本政府に対し、取調べの全面可視化を含む、刑事司法制度の抜本的改革のために以下の点を要請いたします。

・法務省の勉強会およびワーキング・グループに関して、そのメンバーおよび議事録を明らかにし、検討過程を公開すること
・今後の調査、検討においては、取調べでの自白強要など、取調べ過程での人権侵害が指摘されている冤罪事件の被害者や弁護士からもヒアリングを行うこと
・新たな捜査手法の導入等の議論と切り離し、遅くとも2011年の通常国会において、取調べの全面可視化法案の成立を図ること
・取調べの全面可視化だけでなく、取調べにおける弁護人の立ち合いの実現と、代用監獄制度の廃止に向けた検討作業を開始すること

 

2010年7月1日

<呼びかけ団体>
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
NPO法人監獄人権センター

<賛同団体> ※2010年7月1日現在 36団体

NPO法人青森ヒューマンライトリカバリー
アジア女性資料センター
アジアの浅瀬と干潟を守る会
アムネステイなごや御器所140G 
アースチャイルド
アニム・プロジェクト
一羊会
えん罪 JR浦和電車区事件被告団(美世志会)
えん罪・JR浦和電車区事件を支援する会
釜ヶ崎医療連絡会議
樹花舎
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
憲法を守る市民の会
「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会
死刑廃止国際条約の批准を求める四国フォーラム
「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク
人権市民会議
人権と報道・連絡会
JR東労組中央本部
生存ユニオン広島
全国一般東京ゼネラルユニオン
全国「精神病」者集団
戦争を許さない女たちのJR連絡会
全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)
盗聴法に反対する市民連絡会
大道寺将司くんと社会をつなぐ交流誌 キタコブシ
富山(氷見)冤罪国賠を支える会
日本国民救援会中央本部
袴田巌さんを救う会
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)
ハンドインハンド岡山
ビデオプレス
特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
平和憲法を守る荒川の会
無実のゴビンダさんを支える会
無実の守大助さんを支援する首都圏の会
【団体名50音順】
 


中国政府による再度の日本人死刑執行に対する抗議声明

2010 年 4 月 9 日
東京都千代田区神田小川町3-28-13-8F
菊田法律事務所気付
TEL / FAX 03-3259-1558
 

NPO法人監獄人権センター
代  表  村井敏邦
事務局長  田鎖麻衣子
 

4月9日、中国政府は日本国籍者である武田輝夫死刑囚(67)、鵜飼博徳死刑囚(48)、森勝男死刑囚(67)の3名に対して死刑を執行した。3名はいずれも、覚せい剤を密輸しようとした罪により死刑判決が確定していた。4月6日に執行された赤野光信死刑囚(65)に続き、4名の命が奪われたことになる。

生命に対する権利は、すべての人に保障された基本的人権であって、刑罰として生命を奪う死刑は、いつ、いかなる政府によっても、用いられてはならない。

まして、薬物犯罪は、国際人権(自由権)規約第6条第2項が規定する「最も重大な犯罪」にすら該当しないものであり、かつ、中国政府自身が、国連機関をはじめとする国際社会から、死刑を適用しないよう繰り返し求められてきたものである。批判に真摯に耳を傾けることなく、処刑をもってこれに応えた中国政府の態度は、強い非難をまぬかれない。しかも、中国政府は、上記4名以外にとどまらず、日々、多くの市民を処刑し続けているのであって、この点をも見過ごすことはできない。

我々はまた、日本人死刑囚の執行を阻止するための具体的行動をなんらとらなかった日本政府に対しても、強く抗議する。日本政府は、中国政府による国際人権法に反した日本国民の死刑執行という事態に直面した今こそ、自ら存置する死刑制度が抱える数多くの問題点を率直に受け止め、死刑廃止に向けた一歩を踏み出すべきである。

監獄人権センターは、今後も国内外の死刑廃止を実現するための取り組みを強めていくものである。


中国政府による日本人死刑執行に対する抗議声明

2010 年 4 月 6 日
東京都千代田区神田小川町3-28-13-8F
菊田法律事務所気付
TEL / FAX 03-3259-1558
NPO法人監獄人権センター
代  表  村井敏邦
事務局長  田鎖麻衣子
 

4月6日、中国政府は日本国籍者である赤野光信死刑囚(麻薬密輸罪により死刑確定)の死刑を執行した。

生命に対する権利は、根本的かつ神聖であり、また国境を越える価値であって、生命は、国家をはじめ、いかなるものによっても奪われてはならない。また、薬物関連犯罪が国際人権(自由権)規約第6条第2項の「最も重大な犯罪」にあたると解釈される余地がないことは明らかである。

さらに、赤野死刑囚は取調べにおいて的確な通訳を受けず、事件において従属的な役割しか果たしていないとの主張はまったく受け入れられなかったと伝えられている。これは同規約第14条により保障された公正な裁判を受ける権利の明白な侵害である。 監獄人権センターは、中国政府による、この計画的な殺人行為を強く非難する。同時に、自国民に対する切迫した死刑執行に対し、しかも直前に副総理が訪中していたにもかかわらず、断固とした態度をとらなかった日本政府をも非難するものである。

中国はすでに、さらに3名の日本人死刑囚の執行を予定している旨、通告している。

監獄人権センターは、予定された死刑執行に対して明確に反対する。そして今後も世界の死刑廃止運動に積極的に取り組んでいくものである。


Center for Prisoners’ Rights Japan
8th floor, 3-28-13, Kanda-Ogawamachi, Chiyoda-ku
Tokyo, JAPAN
TEL / FAX +81 3-3259-1558
April 6th, 2010

Statement on Execution of a Japanese Citizen by China

On Tuesday China executed a Japanese citizen, Mitsunobu Akano, 65, who had been condemned to death for drug-smuggling.

Right to life is a fundamental, sacred and trans-boundary value and human life should never be deprived by any parties including state authorities. It is obvious that there is no room to interpret that drug related offences are regarded as ‘the most serious crimes’ under Article 6, paragraph 2 of ICCPR. Furthermore it is reported that Akano did not have a competent interpreter for the interrogation against him and his argument that he only played a subordinate role in the offence was not accepted at all. This is a clear violation of the right to a fair trial guaranteed by Article 14 of the Covenant.

Center for Prisoners’ Rights Japan strongly denounces this premeditated murder by Chinese government. At the same time we condemn Japanese government which took no decisive attitude against imminent execution of its own citizen, despite Deputy Prime Minister’s visit to China earlier this month.

China has already announced that it is planning the consecutive executions of the three more Japanese nationals.

Center for Prisoners’Japan firmly stands against the scheduled executions and continues to be actively involved in universal abolition movement.

Maiko TAGUSARI
Attorney at Law
Bancho Kyodo Law Office
TEL: 81(3)3226 7317
FAX: 81(3)3226 7318
 


中国政府による日本人死刑執行通告に対する抗議声明

2010年4月4日
東京都千代田区神田小川町3-28-13-8F
菊田法律事務所気付
TEL / FAX 03-3259-1558
NPO法人監獄人権センター
代  表  村井敏邦
事務局長  田鎖麻衣子
 

中国政府は、麻薬密輸罪で死刑が確定した4名の日本国籍者の死刑を執行する旨、日本政府に伝えた。赤野光信死刑囚(65)の処刑予定日は4月5日、武田輝夫死刑囚(67)、鵜飼博徳死刑囚(48)、森勝男死刑囚(67)ら3名の処刑予定日は4月8日とされている。

岡田克也外務大臣は、死刑執行が世論に与える影響について懸念を表明したが、日本政府として処刑を中止する具体的な要請は行っていない。

たとえ死刑存置国においてであっても、死刑は国際人権(自由権)規約第6条第2項にしたがい、最も重大な犯罪に限定されねばならない。そして、同規約委員会がスリランカ(1995年)、クウェート(2000年)、タイ(2005年)に対する総括所見において示しているとおり、薬物関連犯罪への死刑の適用は、同規約の求める最低基準を充足するものではない。

われわれは、中国政府による野蛮な殺害行為はもとより、みずからもまた死刑制度を存置し、これを必要とみなす日本政府が、内政干渉にあたるとの理由から、自国民を保護するための行動をとらないことをも非難するものである。監獄人権センターは、いかなる政府によるものであっても、またいかなる犯罪に対して科されるものであっても、死刑に強く反対する。そして死刑に反対する諸個人・諸団体と連帯し、全世界における死刑廃止のための取り組みを強めていくものである。


Maiko TAGUSARI
Attorney at Law
Bancho Kyodo Law Office
TEL: 81(3)3226 7317
FAX: 81(3)3226 7318
Center for Prisoners’ Rights Japan
8th floor, 3-28-13, Kanda-Ogawamachi, Chiyoda-ku
Tokyo, JAPAN
TEL / FAX +81 3-3259-1558

April 4th, 2010

Statement on Imminent Execution of Japanese Citizens by China

China has informed Japan that it will execute four Japanese nationals for drug-smuggling.

The execution date of Mitsunobu Akano, 65, has been set for April 5th and that of the other three, Teruo Takeda, 67, Hironori Ukai, 48, and Katsuo Mori, 67, for April 8th.

Japanese Foreign Minister Katsuya Okada expressed concern over how the executions will impact public sentiment, but the government never expresses its demand specifically to stop the scheduled execution.

Even in the retentionist countries, the death penalty must be restricted to the most serious crimes within the meaning of article 6, paragraph 2 of ICCPR, and drug-related offences do not satisfy the threshold for capital punishment under the Covenant, as seen in UN Human Rights Committee’s Concluding Observations on Sri Lanka (1995), Kuwait (2000) and Thailand (2005).

We denounce not only China’s brutal act of killings but also Japanese government’s failure in taking an action to protect its own citizens on the grounds that Japan, which also retains the death penalty and deems the punishment as necessary, should not intervene in China’s domestic issue.

Center for Prisoners’ Rights Japan strongly opposes imposition of capital punishment to any crime by any government and strengthens its commitment to movement for universal abolition in solidarity with various individuals and organizations against the death penalty.


森英介法相による3 度目の死刑執行に抗議する

2009年7月28日 監獄人権センター

麻生内閣の森英介法相は本日(7月28日)、山地悠紀夫さん(大阪拘置所)、 前上博さん(大阪拘置所)、陳徳通さん(東京拘置所)の3人に対して死刑を執行した。 私たち監獄人権センターは、本日の死刑執行に強く抗議する。


今回の死刑執行は森英介法相による3度目の執行である。 すでに衆議院が解散され、8月30日の総選挙後に総辞職が予定されている内閣の法相が、 しかも、政権交代さえとりざたされているこの時期にあえて執行に踏み切ったことは、 政治的にも無責任で許し難い暴挙である。

2007年12月の鳩山邦夫法相(当時)による執行以来、 ほぼ2~3 カ月に1 度のペースで行われてきた死刑執行を、森英介法相は今年1月29日の4名の死刑執行以降、 半年近くにわたって行って来なかった。 その背景には、昨年10月28日に森法相が飯塚事件の久間三千年さんに対して行った死刑執行が,無実の人に対する執行であった疑いが、 足利事件の菅家利和さんの再審開始によって一段と高まったという事情があったと思われる。

足利事件とほぼ同時期の飯塚事件において、久間三千年さんの有罪認定の決め手となった DNA鑑定は足利事件と同じ「MCT118」式の検査法で、 しかも、久間三千年さんのDNA 型は菅家利和さんのDNA型と同じ「16-26型」とされていた。 菅家さんに対するこのDNA 鑑定が誤りであったことが明らかになった今、久間さんの冤罪の可能性は一段と高まったと言わねばならない。

久間さんは一貫して無罪を主張し、死刑執行の直前まで弁護団を通じて再審を準備していた。 また、森法相が久間さんの死刑を執行した昨年10月28日までには、東京高裁が足利事件のDNA 再鑑定に踏み切る可能性がすでに高まっていた。 森英介法相はこれらの事情を精査しないまま、あるいは知りながら、あえて久間三千年さんの死刑を執行することによって、 決してあってはならない「冤罪執行」に手を染めた可能性が高いのである。

足利事件の無実が誰の目にも明らかになったこの春以降、 森英介法相も自ら犯した「冤罪執行」の可能性を意識し、死刑執行を躊躇してきたに違いない。 ならば、なぜ今、新たな死刑執行に踏み切ったのか。森英介法相はこの点について、説明責任を果たすべきである。

さらに、今回執行された山地悠紀夫さんと前上博さんは、ともに控訴を取り下げ、一審判決限りで死刑が確定した。 しかも、ともに確定して2 年余りでの執行であり、陳徳通さんも確定後3 年余りしかたっていない。 この間、死刑執行のペースを上げるために、今回と同様上訴を取り下げて自ら判決を確定させた死刑確定者を狙って早期に執行するケースが目立つ。 しかし、これは昨年10 月に行われた国際人権(自由権)規約委員会の「死刑事件における必要的上訴制度」の勧告にも反し、 それこそ「冤罪執行」の危険性を高めるものである。

今年に入ってからも、東アフリカのブルンジやアメリカのニューメキシコ州が死刑を廃止するなど、 世界は「死刑のない世界」に向かって着実に前進している。日本でも裁判員制度が実施され、 市民が死刑か否かの判断に直面することが現実のものとなり、死刑制度に対する関心もかつてなく高まっている。

このような状況の中で、民主党もその政策集「index2009」の中で、 「死刑存廃の国民的議論を行う」「当面の執行停止や死刑の告知、執行方法なども含めて国会内外で幅広く議論を継続してい」 くと明記するなど、死刑存廃問題に具体的に言及する政党も増えてきた。 「冤罪執行」の危険や必要的上訴制度の問題を含めて今回の執行が突き付けている問題点を、 政府、各政党、各議員そして私たち市民は真剣に議論し、「死刑のない社会」に向かって今こそ舵を切るべきである。


広島少年院の教官による被収容者少年に対する暴行・虐待事件に関する声明

2009年6月16日  NPO法人監獄人権センター
代表 村井敏邦   副代表 菊田幸一
副代表 海渡雄一   事務局長 田鎖麻衣子

6月9日、広島少年院(収容定員102名)の4名の教官が、 被収容者少年に対する暴行・虐待を行ったとして逮捕された。 5月22日付けで広島矯正管区が発表した中間報告および報道等によれば、 暴行・虐待の内容は、少年の顔や身体を平手・手拳で殴打する、足で少年の身体を蹴る、 トイレに行かせずに失禁させる、シャワーの水を浴びせおむつの着用を強要する、 「死ね」と言いながら首を絞めるなど、苛烈を極めている。中間報告時点において確認された事案だけで約100件、 被害者は約50名にものぼり、暴行・虐待を行っていた教官は逮捕された4名にとどまらないという。 これほど深刻な人権侵害が相当期間にわたって大規模に繰り返されていた事実から、 もはや本件が特定の教官らだけに帰責できる問題ではないことは明らかであろう。

本件によって、まず思い起こされるのは、2002年に発覚した名古屋刑務所事件である。 2名の死亡者まで出したこの忌まわしい事件を機に、行刑改革会議が発足し、 監獄法改正(受刑者処遇法およびその改正法である刑事被収容者処遇法の成立)へとつながった。 成人施設における処遇も今なお多くの改善を要する状態にあることは間違いないが、新たな立法により、 被収容者の人権尊重と改善更生の理念が明確化され、刑事施設視察委員会の設置や、不服申立て制度の新設などがなされた。 ところが、こうして成人矯正分野での改革が進む一方で、少年矯正に関しては何ら手が触れられないまま経過していた。 もとより、少年院は、少年の健全育成という少年法の理念のもと、少年に矯正教育を授ける施設であって、 成人を収容する刑事施設とは本来的に異なる性格の施設と考えられてきた。 実際に、少年の立ち直りのために心血を注いできた多くの教官たちによる、 心を打つまでの努力の積み重ねがあり、今日の少年矯正を支えていることは事実である。 その一方で、人の自由を奪う拘禁施設は、一般的に被収容者の人権が傷つけられやすい環境であることは否めず、 人権侵害に対するセーフガードが必要である。 まして、少年は成人と比較し、自己が受けた人権侵害や不利益について外部の第三者等に訴える能力に乏しいため、 問題処遇が生じた場合であっても外部には明らかになりにくい。ゆえに、少年を収容する施設においては、 外部の独立した視察機関や、実効性ある不服申立て制度の整備の必要性が成人以上に高いといえる。

本件を受けて現在、法務省では少年院法の改正を検討中であるというが、 今一度、1998 年(第1回)および 2004 年(第2回)に、 国連・子どもの権利委員会が日本政府報告書審査にあたり採択した最終所見の内容を想起し、 検討に入るべきである。特に、第1回審査時の所見においては、条約「第 37 条、第 40 条及び第 39条、及びその他の関連する基準、 例えば、北京ルールズ、リヤド・ガイドライン、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則との適合性」が懸念事項とされ、 「独立した監視及び適切な不服申立手続が不十分であるこ」が特に懸念される項目として挙げられ、 これを受けて「監視及び不服申立手続、代用監獄における状況に特に注意が払われるべきである」と勧告している。 第2回審査時においても、上記諸基準の「完全な実施の確保」として、同内容が引き続き勧告されている。

現在でも毎日のように、広島少年院における不祥事の続報がなされており、問題は深刻さを増すばかりである。 施設外の独立した第三者からなる視察委員会制度、施設外に対する不服申し立て制度とそれに対する第三者による諮問機関の設置をはじめ、 少年院・少年鑑別所と成人矯正施設における人事交流のあり方の見直しなどを含めて、 少年法の理念および子どもの権利条約を始めとした国際人権規準に立ち返った処遇を実現するために必要な改革が、 真摯に行われることを強く望む。


森英介法相による2 度目の死刑執行に抗議する声明

2009年1月29日 監獄人権センター

麻生内閣と森英介法相は本日(1 月29 日)、牧野正さん(福岡拘置所)、 川村幸也さん(名古屋拘置所)、佐藤哲也さん(名古屋拘置所)、西本正二郎さん(東京拘置所) の4 人に対して死刑執行に行った。私たち監獄人権センターは、本日の死刑執行に強く抗議する。

今回の死刑執行は森英介法相による2 度目の執行であり、前回10 月28 日の執行から 3 か月しかたっていない。一昨年12 月の鳩山邦夫・前々法相による執行以来、 日本政府はほぼ2 か月に1 度のペースで死刑執行を行ってきた。今回の執行は、 日本政府が今後も昨年同様のペースで死刑執行を行う態度を示したものと受け止めざるをえない。

国連総会は昨年12 月18 日、死刑執行の一時停止などを求める決議を、賛成106 か国、 反対46 か国、棄権34 か国と一昨年を上回る賛成多数で2 年連続で採択した。 国連総会決議から1 か月もたたずして行われた今回の執行は、 決議に示された国際社会の死刑廃止に向けた強い意思に対する挑戦である。

今回執行された4 人うち、牧野正さんと西本正二郎さんは、 いずれも控訴を自ら取り下げ、一審限りで死刑判決が確定しており、 牧野正さんについては公判段階から精神障害の存在が争われていた。 昨年10 月の国際人権自由権規約委員会の日本政府報告に対する最終見解では、 「高齢者に対する死刑執行や精神疾患を持つ人の死刑執行については、 より人道的なアプローチがとられるべきである」「死刑事件に関しては必要的上訴手続きを設けるとともに、 再審請求や恩赦の出願がなされている場合には執行停止の措置をとるべきである」と明確に勧告されている。 今回の執行は、こうした勧告を無視した暴挙である。

近年、自ら上訴を取り下げる死刑囚が目立つが、それ自体不自然なことであり、 死刑判決を受けた被告が上訴すること自体をバッシングするマスコミや日本社会の雰囲気が、 そうさせている面が否定できない。前々回執行の山本峰照さん(控訴取下げ)、 前回執行の高塩正裕さん(上告取下げ)に続いて、今回も上訴を経ていない死刑確定者の執行を安易に行ったことは、 日本が批准している国際人権自由権規約の精神にも反するものである。

すでに国連加盟国の7割にあたる138 か国が法律上・事実上死刑を廃止し、 死刑存置国は59 か国にすぎない。残る主要な死刑存置国である中国、アメリカも死刑執行を減らしている。 アメリカも死刑執行はピーク時(1999 年)の2 分の1 に減っており、死刑判決もピーク時(1994 年) の3 分の1 に減っている。アメリカの昨年の死刑執行数は37 人にとどまっている。そうした中で、 日本だけが一昨年は9人、昨年は15 人と死刑執行を急増させていることは異様と言うほかはない。 中国やアメリカと比しても、日本の犯罪状況が悪化している事実は一つもない。 殺人の認知件数は昨年やや上昇したものの、犯罪による死亡者数とともに40 年以上一貫して減少傾向が続いている。 日本だけが死刑なしでやれない理由など一つもないのである。

昨年秋以降、アメリカ発の世界経済危機が深刻化し、 日本国内でも非正規雇用者を中心に失業問題が深刻化している。 こうした中で、労働市場の規制緩和や福祉切り捨てなど市場原理主義による過去の政策の見直しを迫る声が日増しに高まっている。 今こそ、自己責任を強調する市場原理主義と手をたずさえて進展してきた厳罰化政策も、真剣に見直すべき時機である。

「未曾有の経済危機」に何らの対応もせずに問題を先送りしてきた政権が、 死刑執行だけはこれまで通り続けるということは、許されるものではない。 麻生内閣と森英介法相は死刑執行を直ちに停止し、 死刑廃止議連など各界各層とともに死刑制度の廃止に向けた議論を開始すべきである。

 
 

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